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【Kis-My-Ft2】シングル「HEARTBREAKER/C’monova」レビュー

Kis-My-Ft2 HEARTBREAKER/C'monova Kis-My-Ft2
Kis-My-Ft2 HEARTBREAKER/C'monova
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楽曲レビューを書くのがずいぶん久しぶりになった。
その間なんと2年半。時間の経過って本当に早いものだ。

2年半の間、世の中も私自身もとてもいろいろなことが起きた。
Kis-My-Ft2も例外ではなかった。

起こったことに対しては多くは語るまい。
我らは与えられるものを見つめていくしかないのだから。

ということで、2024年1月3日、6人となった新生キスマイの新譜がついにリリースされた。
「HEARTBREAKER」と「C’monova」の両A面シングルである。

この記事では通常盤に収録されている4曲をレビューする。

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6人の新たな門出と一体感

6人になったキスマイが、どんなテイストで、どんな歌声で、どんな楽曲を届けてくれるのだろうというのは否が応でも期待が高まるというもの。

発売まであえて積極的に曲に触れずにいた。
フラットな気持ちで楽曲を受け止めたかったからだ。

ソロパートもユニゾンも、個性を出していくというより6人の一体感を強く感じるボーカルワーク。
すごく丁寧なディレクションとそれに応えるキスマイの、渾身の力作が揃った今回のリリースに圧倒された。

一緒に年齢を重ねてきたなあという思いとともに、かなり好きな路線で曲を提示してきてくれて楽曲厨にはグッときた。

6人体制一発目でこれだけのものを出してくるキスマイ、恐れ入りました…!

これだよこれ、これを待っていた。

楽曲レビュー

HEARTBREAKER

作詞:Kanata Okajima
作曲:Leroy Sanchez / MiNE / Atsushi Shimada
編曲:Atsushi Shimada

テンポの良いギターのリフから始まるグルービーなサウンドに乗せて、恋に翻弄される男性の未練や強がり、戸惑いを歌い上げる。

6人体制のキスマイ楽曲の第一声が藤ヶ谷から始まるのは、もうそれしかないでしょと納得の歌割。
色気を漂わせた歌声はリスナーをグッと曲の世界観に引き込んでいく。

Bメロの千賀はロイヤルボイスにますます磨きがかかっている。
ピアノで彩られたトラックに乗せて丁寧にメロディーをなぞりながら、メロ終わりでは情緒たっぷりに響かせる。

サビの入りはベースとキックだけの絞られた音色の中に、玉森の切なげで透き通った歌声が引き立つ。
“You are my”は地声で、“heartbreaker”以降は裏声を使うことで、憂いや切なさが317倍増しに。

あんな声で“You are my heartbreaker”なんて言われた日には、この世のすべての光を吸い取られて一生戻れなくなっちゃうんだろうな。
それくらいの残酷な美しさがそこにはある。

6人でのサビには切なさに力強さも加わって、胸を締め付けられるような思いになる。

大人だから叫んだり走り出したりはしないけど、ただじっとそこで待っていて思い出すたびにじわり涙が出るような姿を描いた歌詞と、今のKis-My-Ft2がまとう30代の雰囲気が見事に融合している。

2番もこれまた秀逸だ。

二階堂のラップ風の歌声とギターのリフのクールさ、後半の歌い上げるメロディを歌い上げるハスキーボイスの魅力的なことと言ったら…!

もうニカちゃんなんて呼べないよ、ね、タカシさん…。

ここまででだいぶノックアウトされてるのに、さらに畳み掛けてくる。
Bメロの横尾パートである。

“傷だってきっと癒せるのに” “哀しいよ”の歌声。
あの絶妙な哀愁は彼だけにしか出せないし、楽曲にまた一つスパイスが加わって深みが増す。

その後ろの千賀のコーラスにも、また感情を揺さぶられる。美しい。

2番のサビ入りは宮田のこれまた美しく冴える歌声が楽曲を華やかにする。
玉森とはまた違う透明感、エビアンといろはすみたいな…(何のたとえ?)

しかしまあKis-My-Ft2はこのグルービーなおしゃれサウンドがよく似合うグループであることよ。
R&Bの曲をもっともっとやってほしいなと、未来への期待が高まる一曲であることに間違いない。

Cメロは前半は玉森・二階堂、後半は宮田・横尾のユニゾン。
ソロパートとは違った歌声の重なりに、まだそんな一面もあったの…!と思わされる。
切なさと強さの前半、優しさと哀しみの後半といったところか。

そして締めに出てくる藤ヶ谷の“You make me cry”の伏線回収感ときたら。
キスマイの歌声の大黒柱としていつも居続けてくれる安心感と、これでこそキスマイだなという納得感。
それこそmake me cryですよ、ほんとに。

ラスサビは千賀の美声を活かした裏メロを響かせながら、楽曲一番の盛り上がりを見せる。
ここの千賀はサビ中ずっと主メロに戻ってこないという贅沢な使われ方だ。
まるで高価な化粧水を惜しみなく使っているかのようなロイヤルさ。違うか。

曲終わりの玉森ソロも、これまた心が張り裂けそうな悲痛な思いを表現していて美しい。

曲を聴いた後に耳に残る感触が、なんとも切なく美しい楽曲だなと何度も何度も聴いてしまう。

ともすれば消費するように音楽を聞いてしまいがちな昨今であるが、丁寧に大切に聴きたいと思わせてくれるそんな一曲であった。

Band Sessionも素晴らしいのでこちらもぜひ。

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C’monova

作詞・作曲・編曲:HIKARI

「come on over(ここへおいで)」と「nova(新星)」の意味を含んでいるという「C’monova」。

今まで多数の“Come on”曲を世に出してきたキスマイであるが、一つの節目である今回のリリースにカモン曲を入れてきたのがなんともキスマイらしい。

重めのギターリフに重なる吐息と細かくビートを刻むリズムが小気味よくて、思わず足でリズムを取ってしまう。

カウベルのカウントとギターのうなりが怪しげな曲の入りに早くもワクワクさせられる。

藤ヶ谷のAメロ。上下幅の大きいメロディを色気のある歌声で歌いこなす。
“踊り場はない”の ない で音階が大きく下がるのだが、ここのスムーズさは品すら感じさせる。

Bメロは宮田(ファルセット)→二階堂→横尾(ファルセット)→千賀と、流れるように交錯する。
2番では横尾(ファルセット)→宮田 ×2 で横宮の応酬となる。
この曲での宮田の声がどうも玉森の歌声に似ている。ハイトーンになると似てくる宮玉ァ…。

サビ前の玉森の、余裕たっぷりで誘うような歌い方に軽率にメロる。
“その身委ねて”の てぇ⤵ の味わいのいいことときたら。

千賀のたっぷりと甘さとセクシーさを漂わせる2番の てぇ⤵ にもドキっとさせられる。

“C’monova, C’monova”と高らかに歌うサビ。
新しいキスマイについておいでよと言わんばかりの、叫びにも似た高いキーのメロディを力強く歌う。

サビ後半はファルセットで切迫感を演出。
ユニゾンでのファルセットも美しいし、強めのサウンドとのコントラストも相まって曲中のいいアクセントになっている。

決めゼリフかのような “ようこそ未来へ” もいい。
1番では藤ヶ谷ががなるように、2番では宮田が跳ねるように(ここも玉森に声が似ている、、、)、ラスサビでは玉森がよ⤵うこそ と大きく高低差を出してキメている。

ところで、Dメロの “本能のまにまに” のまにまにって何??と思ったので調べてみた。

まにま‐に【随に】
 他人の意志事態の成り行きに任せて行動するさま。ままに。まにま。
 ある事柄が、他の事柄進行とともに行われるさま。…につれて。…とともに。

デジタル大辞泉(小学館)

要は “本能のままに” ってことなんだろうけど、音数的にまにまにのほうが語感がいいのは間違いない。
まにまにとかいう言葉、人生で初めて出会ったわ。勉強になります。

このDメロ終わりの “dive” のねっとりとした下がり方もクセになる。

全体的に語尾を上げたり下げたりの部分のディレクションが秀逸で、細かいところまで丁寧に作られている楽曲である。

こちらもBand Sessionがあるので合わせてどうぞ。

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Jenga Love

作詞:大志
作曲:大志 / YUTA(マエノミドリ)
編曲:YUTA(マエノミドリ)

浮遊感のあるサウンドに乗せて、今の関係を崩したくないけど想いを伝えたい葛藤を描いた大人の恋愛ソング。
ジェンガのように一手を誤ると全て崩れてしまう、そんな危うい関係にやきもきする主人公の姿がリアルだ。

jengaってパーティゲームの他に意味はあるのだろうか?と調べてみるも、英語としてはパーティゲームのそれの意味のみ載っていた。
スワヒリ語で「建てる」を意味する「クジェンガ」が語源らしい。

楽曲に話を戻そう。

曲の歌い出しは二階堂。
ハスキーボイス×切ない曲の相性は抜群だ。歌詞の切実な想いがより伝わってくる。

2番は宮田がAメロであるが、こちらはまた色が変わって曲に出てくる二人の甘くて脆い関係をよく表している。

Bメロは1番が玉森→千賀、2番が横尾→藤ヶ谷。
“今朝のKissが” の “が” のかすれ具合めちゃ良くないですか??
ここを1番も2番もテイスト揃えてるのグッジョブ過ぎる。

サビは全員でのユニゾン。
6人のキスマイの歌声をしっかり堪能できる。
一体感や統一感のあるディレクション。
キスマイの良さが存分に引き出されている。

表題曲2曲とはまた違った楽曲のテイストと、それを丁寧に作り上げる制作側の意気込みをも感じさせる一曲である。

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遊びに行こうよ

作詞:hunch(HAND DRIP)
作曲:hunch(HAND DRIP)/ Seo Hyojung
編曲:Seo Hyojung

肩の力が抜けるような、身も心にも優しいチルソング。
トランペットとエレピのまどろむようなサウンドが心に染み渡る。

感情を押し出して歌い上げる前3曲に比べ、優しく語りかけるように歌う。
チルなサウンドに抜け感がありながらも、未来への希望すら感じさせる楽曲である。

“遊びに行こうよ” と
“思いのままに 自然に楽しめる方へ行こう” をそれぞれ2回ずつ歌っている。
大事なことだから2回言いました的な。

シンプルな構成だからこそ、メッセージがダイレクトで聴く方に伝わってくるのが良い。

とにかく歌詞がかなり今の私に刺さる。

“思いのままに 自然と楽しめる方へ行こう”
“控えめに言って最高な今日”
“マイペース 別にいいんじゃね?”

そういうふうに思える日を1日でも増やしていきたいなと思う所存。

おわりに

ということで、Kis-My-Ft2「HEARTBREAKER/C’monova」収録曲をレビューした。

楽曲のクオリティの高さはこれまでと変わらず、よりジャンルを広げて表現の可能性を見せてくれた4曲だった。

せっかくならサブスクでより多くの人に聴いてほしいのだけど、今回は配信はないとのこと。
機運は高まっていると思うので、グローバルなプラットフォームへのキスマイ楽曲のサブスク解禁を待ちたいところだ。

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