ドラマの主題歌はドラマ本編と一体化しているものと、ドラマとは別枠として作られているものがあるが、今回レビューするシェネルの「Destiny」は間違いなく前者である。
TBS系金曜ドラマ『リバース』の主題歌になっている本作は、ドラマの重要な場面において、時には切なく時には怖いくらいの緊迫感を与えるのに一役買っている。
アニバーサリーイヤー第1弾は、4月14日(金)からスタートする、主演・藤原竜也 × 原作・湊かなえ で大注目のTBS系金曜ドラマ『リバース』の主題歌に決定。
楽曲タイトルは「Destiny」。プロデュース・作詞は松尾潔、作曲・編曲は川口大輔とのタッグによる作品となっている。(中略)
シェネルの美しい歌声が、金曜ドラマ『リバース』の痛いほど美しい愛の物語を、さらに鮮やかに盛り上げてくれることは間違いなし。ぜひ、ドラマと共に主題歌にもご期待ください!
Destiny
作詞:松尾潔 作曲・編曲:川口大輔
曲構成
イントロ
Aメロ|Bメロ|1サビ
Aメロ|Bメロ|2サビ
間奏
Bメロ|大サビ
アウトロ
ドラマとリンクした世界観
歌詞
作詞を担当した松尾潔氏は、歌詞を書くにあたってドラマの脚本を読んだという。
本編もシェネルの主題歌「Destiny」も好評で嬉しいかぎり。作詞を依頼されてすぐに脚本を読みましたが、原作の魅力を損ねることなくドラマならではのスリルも加味された仕上がりに、ページをめくる手が止まりませんでしたよ!#リバースhttps://t.co/3olfWtNjmW
— 松尾潔 (@kiyoshimatsuo) 2017年4月15日
1サビ・2サビ・大サビは全て同じ歌詞。ドラマの登場人物たちの「運命」が交錯し、過去と向き合っていく様子が描かれている。
印象的だったのが、Aメロ・Bメロが1番と2番で視点が違うという点である。
1番は、不器用ながらも嘘で守れる真実は真実ではないと、事件の真相に迫っていく主人公の深瀬の目線。2番は、気持ちを抑えこみ上手く隠しながら生きてきたような描写があるため、事件に関する真実を知る者の目線であると考えることができる。
ドラマが進んでいくにつれてこの2番が誰のことを指すのか、感じ方が変わっていくというのがおもしろい。登場人物の誰にもあてはまるし、もしかしてあの人のこと?と考えながら聴くとより曲もドラマも味わい深いものになるだろう。
サウンド
ストリングスのバッキングが曲の世界観を支配しているのだが、ここまで怖さを感じさせるのもなかなか無い。劇伴のような重厚感のあるサウンドにサビで乗っかってくるリズムセクションが、闇の中を疾走するような切迫感を効果的に演出している。
サビの歌い出しでボーカルとベース以外をブレイクにしているのも、サビのインパクトを際立たせていてとてもシビレる。サビだーーーって震えながら曲の世界観にのめり込ませてくれるから好きにならないわけがない。
歌声
どっしりと低音の効いたサウンドに、ドラマの世界観を散りばめた歌詞。そしてシェネルのハスキーで力強い歌声も忘れてはならない要素である。
「Baby I Love You」「Happiness」「Believe」などの明るいラブソングを歌うイメージのあったシェネル。これまでの傾向とは真逆の「Destiny」では、マイナー調のサウンドと彼女のハスキーボイスの相性の良さを感じることができる。
父が中国人、母がインド・オランダのハーフで、マレーシア生まれオーストラリア出身、現在はロサンゼルスに拠点を置いているという多国籍なバックグラウンドにも関わらず、歌の中でそれを感じさせないのは、歌詞の意味を咀嚼し理解した感情をメロディに乗せているからなのだろう。
おわりに
「リバース」を見ている時に「Destiny」が流れてくると、いっそう物語にひきこまれていく。劇伴のような主題歌だけど、曲そのものも聴けば聴くほど強さと弱さを感じてしんどさが増す。
この記事を書いている時点でドラマは折り返しに入るところ。真実が明らかになっていくほどに、シェネルの歌声によってドラマが彩られていくのが最終回まで見逃せない。
配信リンク
ストリーミング配信
「リバース」公式HP