※この記事は2017年2月7日に別ブログ「みやまクロニクル」にて掲載した記事に加筆・修正を行ったものです。
SMAP解散という、確実に芸能史に残るであろう大きな置き土産をして過ぎ去った2016年。迎えた2017年の年越しCDTVスペシャルで、舞祭組の「道しるべ」がTV初披露された。(全世界初オンエアはスマスマ最終回直後の文化放送「レコメン!」内だった)
強いメッセージ性のある歌詞と、決して高い歌唱力があるわけではないのに「感謝」の気持ちが伝わってくるパフォーマンスに釘付けになったのを覚えている。
発売日から1ヶ月経ってしまったが、私の私による私のための楽曲分析(レビュー)を残しておきたいと思う。
舞祭組とは?
日本の男性アイドル・グループ、Kis-My-Ft2の派生ユニット。メンバーは千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、二階堂高嗣の4名。
2013年11月、レギュラー出演番組『キスマイBUSAIKU!?』の放送において、ゲスト出演の中居正広(SMAP)が北山宏光、藤ヶ谷太輔、玉森裕太の3人と比べて活躍の機会の少なさに憂慮したことがきっかけとなり結成。
中居が作詞・作曲や振り付けなど全面的にプロデュースを担当。
2013年12月、シングル「棚からぼたもち」でデビュー。2015年までにシングル3枚を発表している。
4thシングル「道しるべ」制作の経緯
1年10ヶ月ぶりとなる待望の4thシングルが、2017年1月4日に発売決定!
新曲「道しるべ」は、舞祭組が作詞・作曲を手掛けた、舞祭組初のバラードとなっています!
2013年にデビューして以来、舞祭組は年に1枚のペースでシングルを発売していた。アルバムの制作も決まっていたが、2016年の年始に前述のSMAP解散騒動が勃発。同年8月に正式に解散が発表されるなど、プロデューサーである中居が舞祭組のことに時間を割くどころではなくなっていた。
そこで、メンバーが自分たちで何かできないかと合宿を敢行し作り上げたのが「道しるべ」という楽曲だったのである。
初回限定盤Bの特典DVDにその合宿の様子が収録されている。
楽曲分析
楽曲データ
作詞・作曲:舞祭組
編曲:久保田真悟、栗原暁
BPM=99.9(Bメロ~サビをBPM Analyzerで測定)
曲構成
イントロ→サビ→Aメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏(セリフ)×4→落ちサビ→サビ
特徴① 4・5・6進行
間奏以外のベース進行は、基本的に「ファ→ソ→ラ」といわゆる4・5・6進行で構成されている。
これはJpopでよく見かける進行パターンで、有名どころでいうと松任谷由実の「春よ来い」もキー違いの4・5・6進行になっている。
特徴② 間奏
1番はよくある曲構成だが、この曲で一番特徴的なのが間奏のセリフのパート。宮田→二階堂→横尾→千賀と4小節ずつでパート分けされているのだが、まさに四者四様の曲調になっている。
間奏①(宮田)おとぎ話風で徐々に不穏な雰囲気へ。
間奏②(二階堂)転調して悲劇的に。4小節目が4分の5拍子に。
間奏③(横尾)ストリングスのペダルポイントでテンポよく間奏④へ繋ぐ。
間奏④(千賀)落ちサビ前最大の盛り上がり。力強さを感じさせる。
セリフはジャニーズの曲によく見かける一言パターンではなく、がっつり3行のセリフになっている。まるでミュージカル。
セリフを入れることもそうだが、1曲の中でコロコロ曲調を変えても曲として(やや強引に)成立させているのはさすがジャニーズといったところだろう。
特徴③ あっけないアウトロ
一番最後のサビが終わると、一番星が光るようにグロッケンが鳴るとアウトロもなしに曲が終わる。
普通だったらサビのインストがもう1回流れてもおかしくないところだが、それをせずに曲が終わることで「前を向いて進む」というメッセージ性を一層高めているように感じさせる。
きっとこれがフェードアウトで終わっていたら、未練がましさだったり名残惜しさのようなものが見え隠れしてしまうのかもしれない。
歌詞
ここまで曲の構成について触れてきたが、今度は歌詞に目を向けてみよう。
メディアで散々言われていることではあるが、「道しるべ」は舞祭組の生みの親でありプロデューサーである中居へ向けられた曲であると言えよう。
歌詞のストーリーは、「僕ら(舞祭組)」と「あなた(中居)」が出会い、困難を乗り越えて、離れていく「あなた」に向けて「僕(各メンバー)」から前向きな感謝を伝えるといったものだ。
生みの親・中居へのメッセージ?舞祭組の新曲「道しるべ」が泣けると話題 – Spotlight (スポットライト)
「輝くペリドットが 心をつなぐ絆」という一説が出てくるが、ペリドットは中居の誕生日である8月の誕生石であることから、あなた=中居で解釈すると全て合点がいくというわけ。
舞祭組メンバーからは「大切な人へ向けて」と話されているだけなので、真意の程は本人たちのみが知るところではあるが。
上のリンクの記事にもあるが、過去にリリースした曲から引用した歌詞があったり、メンバーの名前がそれとなく組み込まれていたりと、まさにこれまでの集大成とも言える歌詞になっている。
ラストのサビの「僕らは世界を渡るよ あなたとは違う道で」の「世界」は、文字通りの「世界(海外)」ではなく、「芸能界」を示唆しているように思えてならない。
というのも、その後に出てくる「笑われても大丈夫 泥臭く生きるよ」が舞祭組の生き様そのものだからだ。
アイドルらしからぬ体当たりな企画をやったり、歌がそこまで上手くないのを逆手に取って笑いに変えてきたり。そこから各々が力をつけて活動の場を広げていっているのをこの一節から想像させるところ、なんとも上手くできた歌詞である。
また、歌詞には表記されていないが、ラストサビの裏でコーラスが
Thank you Thank you for your love
Thank you Thank you for your smile
と歌っているのもひたすら感謝を伝えていてグッとくる。
ちなみに1番では主旋律にハモるようにコーラスが入っている。ぱにた~んも…笑
見せ所の合致
この曲いいな、と感じるポイントって枚挙にいとまがないが、一つは、曲の見せ所と歌い手の見せ所が合致することではないかと思う。
『道しるべ』で言えば、落ちサビで横尾のソロの後、4人で「これからもーー」とハモるところ。
舞祭組は中居MCの番組でハモリができないことを度々いじられていたが、あえて落ちサビ→ラストサビへの一番曲が盛り上がるところに、舞祭組としての見せ所であるハモリを入れているのだ。
たとえハモリが上手くいってもいかなくても舞祭組的には(見てる側がどう取るかはともかく)オイシイわけである。
おわりに
舞祭組アルバム発売の一報から2年。ようやく先日、正式なリリース&ツアーの決定がアナウンスされた。
舞祭組ファーストアルバム発売決定!& ツアー決定! | Kis-My-Ft2 Official Website
4人で作った「道しるべ」という曲が、そのタイトル通り彼らの道しるべとなったのである。アルバムがどんな方向性で仕上がってくるのか現時点では予想もつかないが、キスマイ本体とはまた違う、味のある作品を期待したい。
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