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【Kis-My-Ft2】シングル『INTER』より「Tonight」レビュー

Kis-My-Ft2
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2017年3月1日にKis-My-Ft2の18thシングル「INTER」(Tonight / 君のいる世界 / SEVEN WISHES)がリリースされた。

ギラギラのダンスナンバーから、珠玉のラブバラード、そして前向きなミディアムチューンと、シングルながら様々な顔を持つキスマイが詰まった作品となっています! 18th SINGLE 『INTER』(Tonight / 君のいる世界 / SEVEN WISHES) – Kis-My-Ft2 Official Website (avex)

1枚のシングルの中に陰と陽、静と動を共存させ、その中間点になる曲までも存在する。「INTER」というパッケージタイトルがどのような意図でつけられたのかは公式HPには言及がないので推測するしかないが(キスマイメンバーがどこかのメディアで言及しているのかもしれないが)、まさに言い得て妙である。

1記事で3曲一気にレビューするつもりだったが、あれこれ書いていたら長くなったので3回に分けてお送りする。

音楽というのは聴くタイミングや環境によって印象がガラリと変わるものなので、音源だけで聴くのと、PV、歌番組、コンサートなどパフォーマンスを見ながらとでは感じるものや気づくことも変わってくるだろう。

聴き手の受け取り方や解釈も、同じ曲で全く違うことだって往々にしてある。そのため、この記事で示しているのは一個人の見方であり解釈であることをご理解いただいた上で読んでいただければと思う。

 

今回はトリプルA面の1曲目である「Tonight」について、曲・歌詞・歌唱の3点を軸にレビューする。

 

 

 

Tonight

作詞:JUN・久保田真悟・Tasuku Maeda

作曲:Tommy Clint・Fredrik“Figge”Boström

編曲:JUN・久保田真悟

 

曲構成

 イントロ|サビ’

 Aメロ|Bメロ|1サビ|サビ’

 Aメロ|Bメロ|2サビ|サビ’

 間奏

 Cメロ|大サビ|サビ’

 アウトロ

 

曲について

Jr.時代のコンセプトを継承

キスマイはこういうギラギラしたダンスナンバーが似合う。それは彼らがジャニーズJr.内の1ユニットとして活動していた時に歌っていた楽曲やパフォーマンスに拠るところが大きい。

「Tonight」は、Jr時代の代表曲である「FIRE BEAT」や「Hair」のコンセプトを継承している曲であると言っていいだろう。ご存じない方には、参考文献としてキスマイのJr時代の楽曲を聴いておくことを強くおすすめしておきたい。

抜きん出たサビ

話をTonightに戻そう。「Tonight」はサビとサビ’の出来が突出して良い。サビというのは曲の答えになる箇所なので、サビが曲の中で一番いいのは当たり前である。しかし、AメロBメロを置き去りにしてしまいそうなくらいサビが突き抜けているのだ。この曲をトリプルA面の1曲目に持ってくるあたりに制作側の気合を感じずにはいられない。

サビ前半のベース進行は1音ずつ下がっていくのに対して、後半は2小節目だけ1音上がってまた元の下がっていく進行に戻ることで、サビの中でメリハリを効かせている。そしてこの上がる1音に強めにティンパニの音を重ねているのも「Tonight」という物語をドラマチックに演出している。

 

大サビの仕掛け

大サビでは、1サビ2サビの繰り返しにするのではなく、サビ入りにフェイクが入ってみたり、ラップのフレーズを入れて直後のRUN×3、BURN×3を2拍ずらして入れている。

そして「show me all through the night」1サビ2サビでは音階が下りていくが、大サビでは音階が上がっていく。その直後にサビ後半の1音上がり+ティンパニが入ってくるもんだから、なんとも美しいクライマックスへのいざない方になっているの。

サビというよりも、この仕掛けを凝らした大サビの一連の流れが心をつかむのかもしれない。

 

歌詞について

語感を重視した歌詞

畳み掛けてくるTonight Tonight nightやBOOM BOOM BOOMもそうだし、語感を優先した歌詞の並べ方からも、歌詞の内容はリスナーが裏の裏を考え込んでしまうほどの複雑さはない。リズムよく音にはめて意味より語感重視の言葉が並んでいる。

これは別に貶しているわけではなく、これはこれで歌う側が見せたい/感じさせたいものをダイレクトに伝えることができるため、世界観を作り込めるメリットがある。

では、「Tonight」はどんな世界観なのかというと、タイトル通りTonight(今夜)という時間軸の中にある。歌詞の「夜が明けるまでdon’t let go」から見るに、夜明けまでまだ時間がありそうなので深夜1時とか2時くらいを想像した。

 

歌詞の中の登場人物

歌詞に出てくる人称を見てみよう。

一人称:「I (me)」「We the bad boys」
二人称:「you」「LADY」「君」「You the bad girls」

※「LADY」は、直後のフレーズが「狙うのはYOOOOUUUU!!!!!!!」となっているため二人称扱いとした。余談だが、このエクスクラメーションマークが7つ並んでいるのは、キスマイのメンバーが7人であることと掛けているのだろうか。ジャニーズの楽曲はこういう遊びをたまに混ぜてくることがある。

この曲で出てくる一人称も二人称も、純粋な単語の意味は一人称単数(私1人)・二人称単数(あなた1人)であっても、歌詞上ではどちらも複数人数の意味で使われている。このことからもわかるように、「Tonight」は「俺たちbad boys=キスマイ」と「お前たちbad girls=(ファンかどうかは一旦置いといて)この曲を聞いている女子」の物語と言えよう。

じゃあなぜ二人称の性別が分かる単語に「LADY」と「girl」が出てくるのかという点だが、「LADY」は「ready」と掛けているだけなのでそんなに意味はないかも?と始めは思っていた。

しかし聴いているうちに、実は「bad girls」をターゲットにしているふりして、実際狙っているは「LADY(淑女)」の方なのでは…?という説が浮かんできてからというものの震えっぱなしである。そうだよね…実際金を持っていてアイドルを経済的に消費しているのはgirlよりladyなのかもしれないね…。

英語における女性の呼称の違いについてはこちらを参照されたい。

 

歌唱について

ユニゾン

サビのユニゾンが「グループの歌声」になるわけだが、個が突出しすぎていても埋もれすぎていても聴いている側には届かない。声だけで歌っているアーティストが誰なのかわかってもらう必要がある。

もちろん、そのアーティストの曲を全部聴いていてライブにも足を運んでいるような人であれば、初見の曲でもそのアーティストかどうか判断できるものであるが、違う層に届けるためにはサビ部分のユニゾンをいかに聴いてもらえる歌声に揃えるかが重要になってくる。

 

歌声を引っ張る北山・藤ヶ谷

その点においてキスマイの、というか所属レコード会社のavexの力量はさすがである。キスマイの歌唱を引っ張る北山・藤ヶ谷を軸に全員の声をうまく調和させている。サビの高音部分(「Love Fighter」「all through the night」)では藤ヶ谷の伸びのある声が全体を引き上げている。

ビートの激しいガツガツした曲である「Tonight」では、太いフェイクを北山、主旋律の主軸を高音に伸びがある藤ヶ谷に置くことで、サウンドの勢いや雰囲気をそのままに、更に曲に圧を加えている。

 

二階堂のラップ

大サビで出てくる二階堂によるラップパート。

サビの中に挟まれるラップパートというのはせいぜい1~2小節であることが多いので、声に特徴がないとサビ中のラップというインパクトを活かすことができない。

その点二階堂は太いハスキーな声の持ち主であるため、インパクト負けせずに仕掛け満載の大サビの中で存在感を示している。

これまではアルバム曲でラップを担当することが度々あったが、満を持してのシングルでの起用。今後のキスマイの楽曲にも影響を与えるかもしれない画期的な試みだと言えるだろう。

 

tの発音

付け加えて言及しておきたいのが、tの発音についてである。子音のtの発音が異常にハッキリしているのだ。英単語(tonight, take, turn, tomorrow)のみならず、tを子音に持つ日本語の「た行」の発音もである。

英単語全体をネイティブみたいな発音で歌っているわけではない。しかし子音、特にtをきれいに発声することよりリスナーに「引っかかり」を与えているのは確かである。

狙ってやっているのか、無意識にやっているのか。この件についてどこかでメンバー本人や関係者が発言していたら教えて欲しい…気になる。

 

まとめ

というわけで今回は「Tonight」について、曲・歌詞・歌唱の3点を軸にレビューした。

トリプルA面なのにTonightだけで4000字以上費やしていて気が遠くなりそうだが、次回はトリプルA面の2曲目「君のいる世界」をレビューする。

 

「君のいる世界」についての記事はこちら↓

「SEVEN WISHES」についての記事はこちら↓

 

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