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【乃木坂46】シングル「逃げ水」レビュー

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2017年8月9日、乃木坂46の18thシングル「逃げ水」がリリースされた。私は女性アイドルについては特段リリースや情報を追ったりしないのだが、たまに流れてくる乃木坂メンバーの画像が透明感があってかわいくてハッとさせられることがある。

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今回の「逃げ水」のジャケットも女の子の日常を切り取ったようなナチュラルでパステルな雰囲気が目を引く。他の48グループや後発の襷坂46とは一線を画す透明感や清さのあるヘルシーさがあって、女性ファンが多いのも頷ける。

正直顔と名前がわかるのはせいぜい4人くらい(生駒・白石・松村・高山)なので、今回のセンターである大園桃子と与田祐希は失礼ながら初めて知った。そもそも私の乃木坂に関する情報はBAD BOYS Jで止まってるしいつまでたっても「世界で一番孤独なLover」の世界観がたまらなく好きだ…。

乃木坂46 『世界で一番 孤独なLover』Short Ver. – YouTube

 

それでは、「逃げ水」収録曲を全曲レビューしていこう。

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逃げ水

作詞:秋元康、作曲・編曲:谷村庸平

女性アイドルのサマーソングはビーチでビキニを着てキャピキャピするような曲があてがわれることが圧倒的に多い。

しかしこの曲は爽やかで透き通る、炭酸の泡がキラキラするサイダーのような清涼感をまとっている。私が乃木坂46に勝手に抱いているグループ像とあまりにも曲の雰囲気が合致していて驚いた。これは名曲と言っていいだろう。

デビュー時から続く乃木坂の合唱的な歌い方とピアノから始まる情緒を揺さぶるメロディーの相性が抜群なのは言うまでもない。それに加えて、高校野球を想起させたり「僕」が大人になってしまったことで失った何かを、抽象的にふわっと描いた歌詞はもうズルいとしか言いようがない。

たぶんこれがもうちょっとBPM遅めだと、気の抜けたぬるい炭酸のようなダルさを覚えてしまうんだろうけど、あえて早くすることで疾走感も足されていて青春のきらめきを感じさせる。

サビ前に唐突にドビュッシーの「月の光」の有名な一節が挟み込まれるのだが、あれは要らなかったんじゃないかな?w 引っ掛かりを持たせるという意味では高校の音楽室を連想させたかったのだろうか。前後のBメロとサビとの落差がありすぎて無理やりねじ込んだ感が否めない。全体的には完成度が高かっただけに、ここだけはちょっと惜しかった。

気になっているのが、歌詞の「僕」がどんな人物なのかがすごくぼやけている点だ。

「いつからか 僕は大人になって 走らなくなった」「君と出会って 青春時代のように 夢中になれたよ」

この2つのフレーズにあるようにこの「僕」は、青春時代を思い返すくらい年齢を重ねた大人であることを伺わせる。こんなことを言ったらどうしても秋元氏の顔がチラつくのだが、女性アイドル・女性アーティストが一人称を「僕」で歌うことは多々あるわけであまりその点は気にして歌詞を読まなくてもいいのかもしれない。

男性が女性目線の曲を歌うとファンタジックなのに、女性が自ら書いたわけでもない男性目線の歌詞を歌うと、妙に彼女たちの後ろにいる大人たちの存在を感じてしまうのはなぜだろうか…。これは考察の余地があるテーマかもしれない。

とにもかくにも、「逃げ水」という曲に関しては個人的ハイスコアを記録したので良しとしておこう。

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女は一人じゃ眠れない

作詞:秋元康、作曲:小形誠、編曲:髙橋浩一郎

映画『ワンダーウーマン』イメージソング。

映画のワンシーンのような切迫したイントロが印象的な、ロックとストリングスが融合した一曲。もっと低音ベースを強調して重厚感バリバリにしてもいいんじゃないかな。コーラスワークにめちゃくちゃ気合いが入っている分抑えめにしたのかもしれないけど、そこは音圧に厚みをもたせてくれ~~火柱バンバンぶち上げるくらい突き抜けてくれ~~なんて思っちゃうあたり私はだいぶ戦闘曲*1に飼いならされている…。

 

ひと夏の長さより…(Type-A収録)

作詞:秋元康、作曲・編曲:aokado

「逃げ水」と同じラインの爽やかなアップチューン。A面になってもおかしくないくらい曲自体のクオリティが高い。「逃げ水」に比べてこちらはより歌詞世界が具体的ではっきりしている。

要所要所で場面を想像しやすい名詞が出てきて、8月~秋の一歩手前まで曲中の時間軸がアルバムをめくるように移動していく。この辺の巧みさはさすが秋元氏である。

 

アンダー(Type-B収録)

作詞:秋元康、作曲:白土亨、編曲:遠藤ナオキ

タイトル通りメインの「アンダー」として、いつか自分にスポットライトが当たるのを夢見ている女の子を歌っている。きれいに歌うというよりも「いつかはあのステージに立つ」という気迫さえも感じる力強さのある歌声が胸を打つ。

あくまで「這い上がってやる」という下克上のような泥臭さはなく、「努力は必ず報われる、誰かがきっと気づいてくれる」という忍耐強さが美とされているのがなんだかな~~という気もするけどそういう世界なのだろう。

メインに立っていないアイドルや若手俳優なんかを応援する人にとっては胸に刺さる曲なのは間違いない。

「今やっと 叶った夢の花びらが 美しいのは ポジションじゃない」

ここの一節の解釈だけでもかなり意見が割れそうなのが面白いところである。

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ライブ神(Type-C収録)

作詞:秋元康、作曲・編曲:SaSA

ここまでとは毛色の違う四つ打ちのダンスナンバー。曲を手がけているSaSA氏は初代J Soul Brothersでボーカル・作曲家として活動していた人物である。

トラックがとにかくクールでダンスミュージック好きの私にどストライクだし、メジャーな女性アイドルがこの手の曲もやるのがとても新鮮。メインジャンルとしてやっていくのは厳しいかもしれないけど、カップリングやアルバムで手札のひとつとしてポップさを残したダンスミュージックをやってくれたらいいなと思う。

歌詞世界が独特で、「観客は異星人 コンタクトを取りましょう」なんて若干小バカにしてるな?と思ったけどあながち間違ってないなと思い直す…。アイドルたちからしてみればファンは応援してくれると同時に奇妙な存在でもあるわけよ。そういうのも歌にしちゃうんだから何でもアリだなまったく(褒めてる)。

 

未来の答え(Type-D収録)

 

作詞:秋元康、作曲・編曲:板垣祐介

ピアノとストリングス、そしてギターのカッティングが瑞々しくキラキラしているポップソング。歌声がなんだか他の曲に比べてつたなさが残っている気がするんだけど、若いメンバーが歌っているんだろうか。

曲自体に特筆するような点がないのだが、Bメロのコード進行は好きだな。

 

泣いたっていいじゃないか?(通常盤収録)

作詞:秋元康、作曲:K-WONDER / SAS3、編曲:遠藤ナオキ

Aメロの音と歌詞の詰め込み具合にさだまさしかよww ってなったのは私だけじゃないはず。「上京する時 持ってきたギターは 安アパートの 押し入れに放り込んだまま」とかも若干の70年代風味じゃない?え、違う…?

何でこれが通常盤のカップリングなんだろうって1回聴いただけではわからなかったんだけど、繰り返し聴いてるとサビのメロディーのキャッチーさだったり歌詞のメッセージだったりを他の曲と比べても安パイなのはこれだなってしっくりきちゃうから不思議である。

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総評

表題曲の「逃げ水」も各バージョンに収録されているカップリングも、乃木坂46の持ち味である透明感を残しつつ夏に何回も聴きたくなる曲ばかりで、期待していた以上のクオリティだった。

アイドル群雄割拠の時代にグループの色を楽曲で出していくのは、どこも頭を悩ませていることだと思う。乃木坂の合唱風の歌唱と透明感とか清涼感というのは他にはない特徴に違いないので、周りのグループの動向に流されずにいてほしい。

夏が終わった後、どういう楽曲を打ち出してくるかが今から楽しみである。

 

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*1:KAT-TUNとかKis-My-Ft2とか

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