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【Kis-My-Ft2】アルバム「FREE HUGS!」レビュー(前編)

Kis-My-Ft2
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SHARING LOVE, BEYOND THE BORDERLINE WITH OUR MUSIC!

 

2019年4月24日、Kis-My-Ft2の8thアルバム「FREE HUGS!」がリリースされた。

シングル3曲に加えて、初回限定盤A・Bにそれぞれボーナストラック、通常盤にはメンバー全員のソロ曲と、新録が21曲というボリュームたっぷりのアルバムになっている。

キスマイ8枚目のオリジナルアルバムが、4月24日発売されることが決定しました!

タイトルは、「FREE HUGS!」(読み:フリーハグズ)

海外などでも見られる、街中で「FREE HUGS」と書かれたプレートを掲げ、見知らぬ人とハグをする光景。
そこにはそれぞれに目的意識がありますが、今作でキスマイが掲げるテーマは、

SHARING LOVE, BEYOND THE BORDERLINE WITH OUR MUSIC!
「僕らの音楽を通して愛を共有し、ジャンル・ボーダーラインを超えて繋がろう!」

まさに「音楽でハグする」ことを打ち出した、7つの個性が光るキスマイならではの新たなエンターテインメント作品に是非ご期待ください!!!!!!!

ニューアルバム「FREE HUGS!」ハグポイントその①~コンセプト~ BLOG | Kis-My-Ft2 Official Website

今回は、前編(通常盤Disc1 15曲+ボーナストラック2曲)と後編(メンバーソロ7曲)に分けて楽曲のレビューをしていく。

 

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総評

音楽作品としてのクオリティの高さ

まずもって驚いたのは、音楽作品としてのクオリティの高さである。キスマイ楽曲は基本的に平均値が高いのだが、こちらの期待を超える完成度の高さに思わず唸ってしまった。

アルバムタイトル「FREE HUGS!」、テーマに「やんちゃ&おしゃれ」を掲げて集められた楽曲は、キスマイの自ジャンルともいえるダンスミュージックに加えて、ヒップホップやポップスのトレンドの要素がいびつになることなく取り込まれている。

どれか1曲が孤立することもなく、かと言って全曲が同じように埋もれるわけでもない。アルバムの枠組みの中でそれぞれの曲が輪郭を持って自立しているからこそ、曲が並べられたときに総合的な強さを放つことができているのだ。

 

藤井フミヤ・亀田誠治(「君、僕。」)、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴(「”8th” Overture」「ルラルララ」)をはじめ、メンバーソロ曲にも多くの著名アーティストが楽曲提供している今回のアルバム。

楽曲提供って、そのアーティスト色があまりに強いと興ざめしてしまうのだが、そのアーティストのテイストを取り入れつつキスマイ楽曲として良いバランスで成立させているのがとても上手い。

良いものを作りたいという確固とした信念がメンバー・スタッフの中にあって、その意志が作品に反映されているのをひしひしと感じられることがなんと嬉しいことか。

アイドルの核となる音楽活動にしっかりとリソースが割かれていて、それが質の高さに還元されていること。

当たり前のようだが、「良いものを作れば売れる」ことを信じているからできることなのである。

 

今のキスマイだから表現できること

2011年のデビューから今年で8周年を迎えるキスマイ。個人仕事もメンバー7人での仕事もこの1年の間で随分と充実していたように思う。

全速力でがむしゃらに上を目指すマインドは変わらないまま、メンバーそれぞれが経験値を上げたことによる深さと広さを楽曲からも感じさせている。

自分のやりたいことを作品に落とし込むはそう簡単ではない。やりたいと思っていてもできないことだってあるし、身の丈に合わないことをやっても滑稽に見えて安っぽくなってしまうこともある。

しかし、「やんちゃ&おしゃれ」を軸に7人曲でもソロ曲でも、彼らとその周りの人たちの強い意志のもと総力戦で形になったことがきちんと伝わってくる。

周りを巻き込みながら、そして自ら周りに巻き込まれながら相互作用で強くなっていくKis-My-Ft2というグループのありようが息づいているのが、この「FREE HUGS!」というアルバムなのだ。

 

超えるべきボーダーラインとは

今回のアルバムテーマの中に“BEYOND THE BORDERLINE(ボーダーラインを超える)”というフレーズがある。ここでいうボーダーラインは何を指し示しているのか。

ジャンル

ひとつは音楽のジャンルである。

アイドルは特定のジャンルにとらわれず、様々な音楽に挑戦できる可能性を持つ。今回はダンスミュージックをはじめヒップホップやファンク、ポップス等幅広いジャンルのオシャレなサウンドが集まっている。

アラサーのこなれた余裕と、まだまだ新しい面を切り開いていくチャレンジスピリットがいい塩梅で共存している点は、今の彼らだからこそ表現できる強みがある。

収録曲順に聴いていくと、ダンスミュージックからポップスへのグラデーションが実に見事だ。何種類ものジャンルを混在させながら、1枚のアルバムとしてまとまりを持って成立させる巧みさが光っている。

さらに、様々なアーティストからの楽曲提供を受けることによって、キスマイのファンがそのアーティストの曲を聴いたり、逆に提供側のアーティストのファンがキスマイの曲を聴くようになることもあるだろう。

Kis-My-Ft2をハブとして新しい音楽に出会う。単に楽曲を楽しむ以上のアクションが生まれていくのである。

 

国境

リード曲「HUG & WALK」のMVではシンガポールにてロケを敢行。現地のダンサーやエキストラと踊り、ハグする様子は文字通りBEYOND THE BORDERLINE である。

また、今回に限ったことではないが、楽曲クレジットにも多くの外国人作家が名を連ねているのもボーダーラインを超えていると言えるだろう。ジャニーズ楽曲に親しんでいるとなんとも思わないが、冷静に考えてみると、言葉も文化も違う海外の作家が日本向けにほどよくローカライズされた曲を作るっておもしろいなと思う。

加えて、いつになるかわからないが、Apple MusicやSpotifyなどのサブスクリプションサービスへの楽曲配信が行われることになれば、それこそ海外のリスナーにもキスマイの楽曲が届くことになるわけで、楽曲のテイストの並びを見る感じそれを見越しているような気もする。

 

過去の自分たち

前作のアルバム「Yummy!!」でも感じたのだが、過去の自分たちを常に超えていかなければならないというマインドが「FREE HUGS!」にも脈々と流れている。

「Yummy!!」では曲そのもので過去の楽曲を超えていこうという試みがなされていたが、今回は歌割や歌い方のテクニックに関して、これまでの既成概念を意欲的に取っ払っている。

7人であることを強調した「Yummy!!」から、一人ひとりがより個性を出していくために一旦真っ白に戻した「君、僕。」、そしてグループの中にありながらそれぞれが個性を発揮している「FREE HUGS!」。

半年間隔で発表された3作の持つ意味合いだけで、Kis-My-Ft2がいかにアツいグループかというのがおわかりいただけるだろう。

 

3つのキーポイント

「FREE HUGS!」を聴くにあたり、歌唱の面でポイントとなるのが以下の3点だ。

①二階堂のパートの劇的な増加
②藤北玉 / 横宮二千という既存のくくりの積極的な崩し
③全員の歌唱テクニックの広がり

 

①二階堂のパートの劇的な増加

今回の「FREE HUGS!」では、多くの曲で二階堂のソロパートがあり、これまでのアルバムの傾向からしても明らかに増えている。

二階堂といえば、「Double Up」(2015年)でラッパーとしての素質を見抜かれ、「WANTED」(2016年)では7人曲でラップパートがフィーチャーされるようになる。その後「Tonight」(2017年)でラスサビ前の見せ場にラップが来るなど、キスマイのラップ担当として頭角を現していた。

だが、彼のハスキーボイスが活きるのはラップだけではない。

今作にも収録されている「君を大好きだ」(2019年)では、1番Bメロのソロパートに起用され、抜群な歌詞と声の相性に驚きとガッツポーズであった。

今回、メロにしてもラップにしても、トリッキーな扱いではなくキスマイのスタンダードとして二階堂の声が使われているなという印象を受けた。

 

②藤北玉 / 横宮二千という既存のくくりの積極的な崩し

キスマイは従来から、藤北玉で1番・横宮二千で2番、というようなくくりが多い。だが、今回はそのくくりを崩して、いろんな組み合わせのパターンを打ち出している。

最近のシングルからもその傾向は見受けられたが、アルバムではより自由かつ戦略的に考えられた歌割になっているのがおもしろい。

それでいて曲のクオリティをさらに上げているというのは、キスマイの高いポテンシャルと優秀なスタッフ陣の底力によるものだろう。

 

③全員の歌唱テクニックの広がり

先ほどは二階堂をピックアップしたが、彼に限らず全員の歌唱テクニックの幅が広がっている。

根本的に歌唱力が上がったというよりは、声の出し方や息遣い、感情の込め方などにバリエーションが出てきたように感じた。

ディレクションによって引き出されたというのは大いにあるが、要求に応えられるだけの力がないと最高のテイクは出せない。キスマイは死ぬまで成長期なのである。

 

現状維持のままではいけない、まだここで完成じゃない、俺たちはもっとやれる。

クールに決めたサングラスの下で、7人は虎視眈々と野心の火を灯し続けている、そんなKis-My-Ft2を感じられるのが「FREE HUGS!」なのだ。

 

楽曲レビュー

“8th” Overture

作曲:岡本剛 / 大森元貴
編曲:岡本剛

レコードのノイズに心地よいメロディのリフレイン、それに重なるスクラッチと「ルラルララ」のフレーズ。1分弱のOvertureでグッとアルバムの世界に引き込んでくる。

前作「Yummy!!」以降、ライブの導入を意識したOvertureからアルバム固有のものへとシフトしていることで、よりアルバムというパッケージでしっかり楽曲を聴かせ、楽しませようという意気込みを感じられる。

 

HUG & WALK

作詞:Kanata Okajima
作曲:Kevin Nicholas Drew
編曲:鈴木雅也

今作のリードソング。明るいEDMでありつつも音を過剰に盛りすぎず、必要な音のみで華やかさをも感じさせる洗練されたトラックには、曲の頭から終わりまでどのパートを切り取ってもリズムとメロディに自然と体が動き出す気持ちよさがあって、2019年のパワープレイソング待ったなしである。

徐々にボルテージを上げていきボーカルの入らないドロップで一気に爆発させる構成は、日本のポップスシーンでEDMっぽいと認識されている様式を踏襲しており、普段この手の曲を意識して聴いていなくてもわかりやすく盛り上がることができる。

四つ打ちのビートに乗せて「地球ごと抱き締めたい」と大きな愛を歌うこの曲がただのラブ・アンド・ピースソングに成り下がらないのは、“We can hug if we wanna” “We can hug, it don’t matter”とあくまで強制しないところにある。

お互いのバイブスが合えば一緒に新しい景色を見てみない?と軽やかに提案しつつ、そこには絶対の自信もにじみ出ているのが、2019年の世相と現状のキスマイにピッタリとハマっている。

 

すごく良いなと思ったのが“Big ribbon in the sky”というフレーズ。文字通り“空にかかった大きいリボン”での意味で空にリボン状の雲が浮かんでいる様子を想像してもいいのだが、Stevie Wonderの「Ribbon in the Sky」という曲では“運命の赤い糸”とか“君と僕をつなぐもの”というような使われ方をしていて、おそらくこちらの意味で解釈するのが「HUG & WALK」のメッセージとしては自然だろう。

だとしたら、その後に続く“All the colors coming alive”は街の色味とメンバーカラーの両方がいきいきろ色づいているような意味合いも出てくる。オシャレ過ぎるなまったく…!

2番で“見てみたい 一緒に来てみない? 未体験な景色”と3連で韻を踏む気持ちよさもたまらない。英語・日本語のクロスボーダーな歌詞がやんちゃでオシャレなトラックにハマって最高である。

ニカ玉→北横→ガヤ宮→玉千でつなぐ歌割はそれほど珍しさはないが、よく考えられた適材適所の組み合わせと順番が功を奏している。

そんでもってやっぱり玉森裕太はすごいなと思ったのが声の輝度の高さ。音階がグッと上がるところで持ち前の声の明るさが映えるし、ラスサビ前のソロパートのこなれ感よ…!あそこは玉森が歌うからこそ曲の緩急がついているといっても過言ではない。単に声質だけでなくメロディやそのパートの役割を理解して自分の解釈で歌っているのが感じられる。こりゃすごいわ。

余談だけど、作曲のKevin Nicholas Drew氏ってZeddとコライトしたりしてるKDrewの本名と一致してるけど当人なのかな…。本当だとしたらマジでエイベやってんな!!!案件だけどマジのマジでありえそうだからエイベちゃんは怖い。

 

A.D.D.I.C.T

作詞:JUN
作曲:Tommy Clint / Atsushi Shimada
編曲:Atsushi Shimada
Additional Arrangement:鈴木雅也

サイレンが鳴り響き、これでもかとハードなテクノサウンドをギラギラさせるダンスナンバー。これこそキスマイの得意分野であり、avexのお家芸とも言えるテイストの曲である。

強めに鳴るベースラインとビートに身を委ねていると、それこそ抜け出せないほどハマっていく中毒性があるのがたまらない。

歌い方も、メロディとシャウトを全体的に強めに音に当てていて、ヒリヒリした曲の雰囲気を増幅させている。Bメロの1番宮田・2番玉森がともに叫ぶように歌う危なさは、力技で何もかも壊してしまいそうな勢いだし、Dメロあとのラップは抑えめだからこそ睨みを効かせた圧がある。

 

THIS CRAZY LOVE

作詞:栗原暁 (Jazzin’park)
作曲:Fredrik “Figge” Boström / Park Keonu
編曲:Park Keonu

シンセとピアノの音色が切なさを誘うミディアムナンバー。トレンドのサウンドをアルバムの中の一曲でさらっと使うのが、あまりにも身軽すぎる上に違和感を感じさせない。

曲の全編に裏メロやフェイクが散りばめられていて、そのほとんどを千賀が担当している。フレーズとフレーズの間に挟まっているパートは、目立ちすぎてもいけないが一瞬のインパクトを与える必要がある。他のメンバーがストーリーテリングしているところに命を吹き込んでいく役割を1曲通して千賀に与えられているのがアツい。

Dメロ終わりの“I gotta be with you Yeah”だけ主メロに千賀が戻ってくるのだが、このたったワンフレーズだけなのがこの曲の主人公の想いの強さを物語っている。

サビで“ユノーアイムセイン?”だけカタカナ表記になっている点に関して、“You know I’m sane?(俺が正気だって知ってるでしょ?)”なのだとしたら、カタカナにすることで愛に狂った自分を受け止めきれてない様子を表現しているともとれて、ますます切なさが増す。

 

L.O.V.E

作詞:ma-saya
作曲:Christofer Erixon / Josef Melin
編曲:Josef Melin
Additional Arrangement:HIKIE

コーワ「ウナコーワクール」CMソング

おまえいたのかーーー!!!と叫ばずにはいられない21stシングル。昨年のツアーでもやってたのでだいぶ前のような気がしていたけど、アルバムは初収録である。

インパクトのある曲ばかりなのでやや埋もれがちだが、改めて聴いてみるとしっかり作られているし、シングルになるだけの存在感が十分にある曲。“スキとキスのダブル攻めで暴走しそう”って何なんだ…と毎度思う。(好きだよ)

 

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Saturday Life

作詞:Komei Kobayashi

作曲:Josef Melin / Chris Meyer
編曲:Josef Melin
Additional Arrangement:ha-j

何でもない休日にも幸せを感じる週末ソング。ピアノとストリングスと優しいリズムが思いっきり午前中かお昼ごろみたいなサウンドだけど、一応歌詞のシチュエーションは夜。

ここまでの曲がブチ上げたりヒリヒリしたり切なかったりしていたので、この曲で一息ついて折り返す感じ。キスマイの歌声も甘く優しく包み込むように響いている。

サビ前Bメロ職人宮田の真髄が2番で発揮されているので全員確認するように。(誰目線…?)

 

#1 Girl

作詞:藤原優樹 / Kotaro Egami / SUIMI
作曲・編曲:Justin Moretz / Kotaro Egami

キスマイにおけるトロピカルハウスの初出は「One Kiss」(2017年)であったが、ジャンルのトレンドの変化に合わせて2019年の今っぽいサウンドで制作されたのがこの「#1 Girl」である。

トロピカルを構成するスチールパン・マリンバあたりを調整して作られたような音色のかわいらしさ、恋する気持ちを描く歌詞のかわいらしさ、甘めに発声されたキスマイの声のかわいらしさ。

そんな中でも甘いだけにとどまらずどこか寂しさも感じさせるのは、藤ヶ谷・北山の両極端なのに二人で歌うと一本の艶のある声になる取り合わせが効いているからだろう。

今回のアルバムは藤北二人だけのパートは案外少ないのだが、だからこそキスマイにこの二人あり!みたいな瞬間を曲から感じるとグッとくるのである。

 

君を大好きだ

作詞:藤井フミヤ
作曲:ヨシダタクミ
編曲:亀田誠治

映画「トラさん~僕が猫になったワケ~」主題歌

北山宏光主演映画の主題歌である23rdシングル。ダンスミュージックなど色の濃い楽曲が並ぶ中でも、強い存在感を放ち曲の引力を発揮している。

二階堂の1番Bメロ起用や、1番と異なるメロディの2番Bメロ、サビは1番も2番もラスサビも微妙に変化するメロディ等、何気ないように見えて挑戦的な試みが散りばめられているのも印象的だ。

 

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僕ハ君ナシデ愛ヲ知レナイ

作詞・作曲:HusiQ.K
編曲:鈴木雅也

北山の作詞作曲による楽曲を初めてグループで歌う。

北山イズムが随所に流れるマイナー調のJ-POPは、懐かしさを漂わせながらも古さは感じさせない。00年代のKinKi Kidsを思わせるようだ。

ダンスナンバーや海外作家提供の曲は譜割りが細かくなりがちだったり、リズムが日本語で歌うには難しい。

だが、北山によって自分(たち)が歌いやすいように作られたメロディと歌詞によって、7人のジャニーズとして核となる部分が引き出されている。

個人的にはサビ以外の進行がどうも不思議な感じがして難解な印象を受けた。いきなりそっち飛ぶ?!みたいな。

多分それが図らずもJ-POPぽさにつながっているのだろうし、ひいてはジャニーズっぽさでもあるのだろう。

情報番組や歌番組でのコメントで、玉森が歌詞について「実体験ですか?」と茶化していたが、北山曰く「作詞っていうのは想像させたほうがいい…」とのこと。

実体験でも創作でもどっちでもいいのだが、描写が妙にリアルであるということは書き残しておこう。

「今何してる」
その一言でも生き返る
存在を認められて
胸が締め付けられてく

こ、この中にお医者様はいらっしゃいませんか…(心臓が持たない)

 

Bring It On

作詞:栗原暁 (Jazzin’park)
作曲:久保田真悟 (Jazzin’park) / 栗原暁 (Jazzin’park)
編曲:久保田真悟 (Jazzin’park)

キスマイ楽曲の作家として長く携わっているJazzin’parkの二人による提供曲。激しい音の波の中で強烈なICHIGEKIをかますハードナンバー。

二階堂がラップ担当としての存在感を増した今、もともとキスマイのラップパートを担っていた藤ヶ谷とガチでやり合う曲がほしいと思っていたところにこれである。

企画した担当者には次のボーナスでBring It On手当として1.5割増しでつけといてほしい。それくらい天才だと言いたい。

二階堂がクール&ドライにリードしつつ、藤ヶ谷のどっしり構えた王者の風格がたまらない。2番の二人の応酬を生で見て圧倒されたいので、頼むからライブで2番もやってくれ~~!

ところで突然の縦読みの仕込みがなんかかわいくて愛おしくなった。こんなゴリゴリバキバキな曲で縦読みすんの??!!という驚きと遊び心、嫌いじゃないよ。

 

Distance

作詞:Komei Kobayashi
作曲:Tommy Clint / Atsushi Shimada
編曲:Atsushi Shimada

「Bring It On」に続いて追い打ちをかけるように繰り出される重低音の効いたトラック。こちらはヒップホップのテイストを全面に打ち出している。世界的にトラップがチャートの上位を席巻している流れを汲んだものだろう。

00年代あたりは多くのヒップホップ作品が日本でもヒットを連発していたが、再びその勢いを取り戻すのかどうか。

どのジャンルでもジャニーズがやることで日本でも浸透してきたことのひとつの指標になりやすいが、キスマイはジャニーズの中でもかなり早いタイミングでやり始める事が多いので、今回のアルバムでこのトラップ風味のヒップホップを入れてきたのはおもしろい傾向だなと思う。

攻撃的なトラックで展開するラップとメロディのコントラスト。このくらい明暗をはっきりさせたほうが曲の輪郭が濃く浮き上がるので、変に抑えるようなことをしてないのが良い。

 

HUGTIME

作詞:Ryohei Yamamoto
作曲:Chris Wahle / Chris Meyer
編曲:Chris Wahle

ヒップホップ風味でありながら遠く後ろの方で鳴るホーンセクションが多幸感を誘う。終盤に向けて流れを切り替える一曲。

2番から主メロにパートを細かくかぶせていて、ハモリや裏メロの重なりが美しい。

特に横尾主メロ・千賀上ハモの“さぁ「位置について READY SET SMILE!」”が良すぎる。

主メロは短く切り、上ハモは長めに伸ばし、その後の“yeah…”の着地がなんと優しいことか。この部分が一番の山場になるところだが、それを横千でやってるっていうのがいいんだよ…。

 

Yeah E Yeah!!!!!!!

作詞:KOMU
作曲:Samuel Waermo / Stefan Ekstedtt / Didrik Thott
編曲:Stefan Ekstedt

ハイテンションなタイトルにてっきり爆上げブチかましソングなのかと思ったら、落ち着いたミディアムポップな曲が来ていい意味で期待を裏切られた。

E♭メジャーのミディアムソングという時点で好きにならないわけがない。同じくE♭メジャーの「Hurray! Hurray!」(2019年)も例外なく好きだからな私は…。

ファンに声を出してほしいところは前もって歌詞カードに仕込む芸を使いこなしているキスマイ陣営、今回は男子と女子で色分けする技を出してきた。

歌詞にSTADIUMというワードが入っていることだし、いつかスタジアムクラスの会場でコンサートをすることがあればぜひ披露していただきたい。

“ヤバ イイじゃん! ヤバ ヤバ イイじゃん!”のフレーズも、きちんとした中にハスしを入れる遊び心があってクセになる。

 

君、僕。

作詞・作曲・編曲:ASAHARU / マシコタツロウ / ha-j

コーワ「ホッカイロ新ぬくぬく当番」CMソング

22ndシングル。アルバム終盤のこの位置に収まるにふさわしい華やかさとメッセージ性を持った曲。

きっと7人の個性(色)が集まってこそ、美しく、そして大きな虹は生まれるはずだから

NEW RELEASE 2018.10.03 22nd SINGLE『君、僕。』DISC | Kis-My-Ft2 Official Website

7人で生み出した大きな虹を、より多くの人たちと一緒に眺めたい。ボーダーラインを超えて愛を共有することの原点はこの曲にあるように思えてならない。

 

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ルラルララ

作詞・作曲:大森元貴
編曲:大森元貴 / 山下洋介

Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が楽曲提供した、人間愛をハートフルに描くアルバムラスト曲。

もともと藤ヶ谷と大森氏が以前からの知り合いだったことから今回の楽曲提供に至っており、詳しい経緯はスタッフブログに熱量込めて書かれているので参照されたい。

19.04.10 ニューアルバム「FREE HUGS!」ハグポイント⑰~ルラルララ~
BLOG | Kis-My-Ft2 Official Website

 

合唱とブラスバンドを取り入れたサウンドは、人と人との繋がりというテーマを後押しし、壮大な世界観を演出する。

コーラスではなく合唱、ホーンセクションではなくブラスバンドである必要があるのか?とラジオ初解禁のときに思ったのだが、ボーダーラインを超えて愛を共有するというアルバムテーマを主軸に人との繋がりをテーマにする曲なら、これくらいドカンと人員を動員しないと説得力ないよな、と納得した。

頭から終わりまでずっと全員でのユニゾンが続くのも珍しい、というか今まであっただろうか。

力技だなと思わないこともないが、ちゃんと信念がある上での選択だというのが伝わってくるのでコンサートでどのような演出で歌われるか楽しみである。

 

歌詞は、シンプルな中に言いたいことをギュッと濃縮させている。

2番の歌詞に“世界と赤い糸”という歌詞が出てくるが、これが「HUG & WALK」の“Big ribbon in the sky”(運命の赤い糸 / 君と僕をつなぐもの) にかかってくるのだとしたらあまりにも美しすぎる。

また、“繋がりに動かされ生きている”はとても今っぽいフレーズだなと思う。

基本的に人間は社会の中で誰かしらと繋がって生きていて、それをいちいち意識することはほとんどない。

でも、自分と誰か、そして知らない誰かと誰かの繋がりがあるから生きていけているってとても尊いことなのだ。

人と人が繋がっていくきっかけにKis-My-Ft2がなっているのだとしたら、アイドルとしてこれほど存在意義のあることはないだろう。

なんかそういうことを思わせる曲、それが「ルラルララ」である。

 

Tequila! – テキーラ –

作詞:mimimi
作曲:Dennis DeKo Kordnejad / August AuRa Ramberg / Timothy TiCo Collins / Hanif Hitmanic Sabzevari
編曲:CHOKKAKU

初回限定盤A収録

ファンク×ヒップホップの中にラテンの雰囲気もまとったパーティーチューン。ギターのカッティングとグルービーなベースラインに、高揚感のあるブラスサウンド。トラックがとにかくカッコいい。

細かく割り振られた歌割には、ハイトーンから超低音まで、そんな声出せるの?!と驚かされっぱなしである。

とにかく随所に掛け声を挟んでくるのであっちこっちからいろんな声が聴こえるのがすごく楽しい。

 

CHUDOKU

作詞:SHIROSE from WHITE JAM
作曲:Simon Janlov / SHIROSE from WHITE JAM
編曲:Simon Janlov

初回限定盤B収録

中山優馬 w/B.I.Shadow「悪魔な恋」(曲)、KAT-TUN「COSMIC CHILD」(曲)、ジャニーズWEST「CHO-EXTACY」(詞・曲)「one chance」(詞)、V6「MANIAC」(詞)など、多くのジャニーズ楽曲を手がけるWHITE JAM・SHIROSE氏がキスマイに初の楽曲提供。

嵐「Daylight」「Doors ~勇気の軌跡~」、Sexy Zone「すっぴんKISS」などのSimon Janlov氏が共作曲・編曲で名を連ねる。

チルで気だるい雰囲気のトラックに、メロウなボーカルとフロウを効かせたラップで聴かせるミディアムなナンバー。

ジャンル的にはチルハウスよりもメロウラップという感じだが、色んなジャンルのいいとこどりをしたキスマイ仕様のサウンドに仕上がっている。

相手を呼び出す1番Aメロ(宮田)、一緒にいてと引き止める1番Bメロ(北山)、君もその気なの?と意思を確かめるラップ(二階堂)、視線で駆け引きする2番Bメロ(藤ヶ谷)、香水の匂いを口実に近づき手が触れて目を閉じるDメロ(玉森)。

そしてサビでは、部屋の電気を消してみない?とちょっとおどけてみせてからそっと消すという一連の流れ。

場面の切り取り方が絶妙だし、歌割の位置もここにこの人ありという解釈の一致感がすごい。

明日は休みじゃないけど、2時まで一緒にいてよ
乗り過ごしたフリしてよ。「もう終電ないぜ」

朝までじゃなくて2時までっていうのが、この相手は朝まで一緒にいたいほどの関係ではないなと思わせるし、乗り過ごしたフリをしないといけないということはその言い訳をする必要がある別の人物の存在を匂わせている。

やることやって2時になったらタクシーで帰されるんですかね…。

「THIS CRAZY LOVE」でも午前2時というワードが出てくるが、同じ夜中の2時に異なる恋模様が描かれている2曲が同じアルバムに収められているのも興味深い事象である。

 

▼後編はソロ曲について書いてます

 

▼公式のライナーノーツがガチすぎる件

19.03.31 ニューアルバム「FREE HUGS!」ハグポイントその⑪~楽曲ライナーノーツ~
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